1 00:00:40,000 --> 00:00:50,500 思いぞ出づる壇の浦の、 2 00:00:52,759 --> 00:00:58,959 海に兵船平家の赤旗、 3 00:01:00,360 --> 00:01:07,825 陸(くが)に白旗、 4 00:01:10,637 --> 00:01:21,381 源氏の強者(つわもの)。 5 00:01:47,774 --> 00:01:55,149 『あら物々しや』と 6 00:01:55,582 --> 00:02:04,458 夕日影に長刀(なぎなた)を引きそばめ、 7 00:02:05,759 --> 00:02:11,425 『何某は平家の侍、 8 00:02:11,732 --> 00:02:17,538 悪七兵衛景清』と、 9 00:02:18,105 --> 00:02:22,524 名乗り掛け/\、 10 00:02:22,942 --> 00:02:28,933 薙ぎ立て/\ 11 00:02:37,526 --> 00:02:43,530 薙ぎ立つれば、 12 00:02:44,865 --> 00:02:52,989 花に嵐の散々ぱつと、 13 00:02:54,274 --> 00:03:09,656 この葉... 武者、 14 00:03:12,125 --> 00:03:18,498 『言ひ甲斐なしとや方々よ、 15 00:03:19,066 --> 00:03:26,440 三保谷の四郎、これにあり』と、 16 00:03:26,907 --> 00:03:32,913 渚に丁ど討つてかゝる、 17 00:03:39,316 --> 00:03:44,537 刀を払う長刀の、 18 00:03:45,182 --> 00:03:50,198 えならぬ振舞ひいづれとも、 19 00:03:57,138 --> 00:04:03,610 勝り劣りも 波の音、 20 00:04:11,585 --> 00:04:16,322 打ち合ふ太刀の鍔元より、 21 00:04:17,550 --> 00:04:27,334 折れて引く汐 返る雁。 22 00:04:36,176 --> 00:04:41,582 勝負の花を見捨つるかと、 23 00:04:42,331 --> 00:04:46,836 長刀小脇にかい込んで、 24 00:04:47,588 --> 00:04:54,850 兜の錣(しころ)を引掴み、 25 00:04:57,064 --> 00:05:02,002 後へ引く足よろ/\/\、 26 00:05:02,836 --> 00:05:08,059 向ふへ行く足たじ/\/\、 27 00:05:08,676 --> 00:05:13,121 むんずと錣を引き切つて、 28 00:05:14,236 --> 00:05:23,323 双方尻居にどつかと座す。 29 00:05:45,726 --> 00:05:52,688 『腕の強さ』と言ひければ、 30 00:05:54,638 --> 00:06:01,094 『首の骨こそ強けれ』と 31 00:06:02,115 --> 00:06:04,398 『ハヽヽヽヽヽヽ』 32 00:06:05,065 --> 00:06:07,067 『ホヽヽヽヽヽヽ』 33 00:06:07,399 --> 00:06:12,639 笑ひし後は入り乱れ、 34 00:06:13,074 --> 00:06:18,110 手繁き働き兄継信、 35 00:06:18,535 --> 00:06:27,220 君の御馬の矢表に駒を掛け据ゑ立ち塞がる、